第十九章

第十九章

第十九祖、鳩摩羅多尊者、因に伽耶舎多尊者示して日く、昔世尊記して日く、吾が滅後一千年に大士有り、月支国に出現し、玄化を紹隆せんと。今汝吾れに値ひて斯の嘉運に応ず。師聞きて宿命智を発す。


師姓は婆羅門、むかし自在天人たりし時、菩薩の瓔珞を見て愛心を起こす、堕してとうり天に生じ、帝釈天の般若波羅蜜多を説くを聞き、法の勝れたるを知り、梵天に昇ってよく法要を説く、諸天悦んで導師となす、祖位を継ぐ時至って、ついに月支に降る。十八祖行化のついで、婆羅門の舎に異相あるを見て、まさに入らんとす。師問いて日く、是れ何の徒衆ぞ。尊者日く、是れ仏弟子なり。師仏号を聞きて、心神竦然として門戸を閉ず。尊者良久してその門を叩く。師日く、こ
の舎に人なし。尊者日く、無と答える者は誰そ。師門を開けて接す。尊者日く、むかし世尊記して日く、乃至宿命智を発す。世尊記して日く、まさに大法を継いで、玄化を紹隆せんと云われて、すなわち大悟す、宿命智を発すとは、おれは如来の生まれ変わりだからなぞ、他が思い込み一人合点とは違う、まさに急転直下するんです、たしかにこういうことがあったんです。たとい前生に於てかくは因縁熟すといえども、いったんこの世に生を受けて、観念認識の生活です、どうしたって自己という架空請求の切れっぱしです。般若波羅蜜多ぱ-らみ-た-彼岸に渡らなければ、宿命智を発するわけには行かんです。玄化の法身、実にこれが重大を、予め承知していたんでしょう、身心竦然として門戸を閉ざす、いないよと云うんです、いないものは誰と云われて、ついに迎えが来たことを知る。世の中他にはないんです、仏道という多種のうちの一種じゃないんです、婦人は結婚せずとも生きていかれる、だがこれは別だ。たとえ悪いですか、まあそういったこってす。

宿生隔歴の身を推倒して、而今相見す旧時の漢。

お釈迦さまは七歩歩んで上下四維指さして、天上天下宇井が唯我独尊といって、お生まれになった。実はすべての赤ん坊がこう生まれているんです、人間世界欲界ですか、知識観念による、砂上楼閣の自己をもってする、主客転倒事、声色の奴卑と馳走する、これ六道輪廻たらい回しです、地獄餓鬼修羅畜生人間天上、たった今も生まれ変わり死に変わりもです。それを一歩抜きんでる、脱するんです、如来来たる如し、赤ん坊の目は宇宙の一かけらのようです、こわいほどです、それを物心つくといってはまた欲界に引き入れる、これが繰り返しです。願はくは生きている今生の間に脱して下さい、宿命智を発して下さい、でなかったらたとい何十生たらい回し、まったく同じことの繰り返し、うんざりするばかり、仏教がなんのためにあるか、今生脱し去る価値を知って下さい、そうですよ、赤ん坊のまんまじゃ役に立たんです。

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by tozanji | 2005-12-14 00:00 | 伝光録


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