2005年 03月 07日 ( 1 )

第三十則 大随劫火

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 衆に示して云く、諸の対待を絶し両頭を坐断す。疑団を打破するに那んぞ一句を消いん。長安寸歩を離れず。太山只重さ三斤。且らく道へ甚麼の令に拠ってか敢えて恁麼に道ふや。

挙す、僧侶大随に問ふ、劫火洞然として大千倶に壊す、未審かし這箇壊か不壊か。随云く、壊。僧云く、恁麼ならば則ち他に随ひ去るや。随云く、他に随い去る。僧龍済に問ふ、劫火洞然として大千倶に壊す、未審し這箇壊か不壊か。済云く、不壊。
僧云く、甚んとしてか不壊なる。済云く、大千に同じきが為なり。

 大随法真禅師、長慶大安の嗣、龍済紹脩禅師、脩山主と同じ、青原下八世地蔵桂しんの嗣、劫火、壊劫の時大火災が起こって三千大千世界が焼尽するという、そりゃ必ずそういう時は来る、あなたの浮き世が壊滅するんです、さあどうしますかってわけです。答えは二通りあって、大随云く随い去るんですし、龍済云く、壊せずです、でもって解決済み。そりゃ頭へ来るというのへ、大千と同じゆえにほうらそっくりっていうんです。頭とってみろってわけです。ものは自然じねんに落着せにゃならんです。そうかというときまったく大千です、地球が滅びようが仏法がどうだろうが、おっほう万歳てなもんです。そりゃ気違いだという、他の信心一神教なら気違いで
す、これはまったくさにあらず。
 諸の対峙を絶しという、まずこれをせんけりゃだめです。只管打坐の俎板の上に載せて、仏教も自分も世界ぜんたいも、四苦八苦過現未も一切合財です、答えを出して下さい。無門関いろはのい、アッハッハ従容録でした、両頭失せりゃ従うきりないですよ。疑団を起こし真正面に見据える、でなきゃ坐禅見習い仏らしいのうさんくさ。
そういうのは葬式稼業にわんさといる、人の死に立ち会うこともできぬ坊主ども、不愉快というより心理学の対象にしかならない。
 長安という悟る前も悟ったあともなんら変わらない、なにがどうなるってはなく日々是好日です、あらゆる一切にまるっきり他愛なく太山比類なき。
 逃げると追いかける、向かうと失せる、どうですか、真っ正面に見据えるとないんです。
頌に云はく、壊と不壊と、他に随ひ去るや大千世界、句裏了ひに鈎鎖の機無し。
脚頭多く葛藤に礙へらく。会か不会か、分明底の事丁寧はなはだし。知心は拈出して商量すること勿れ。我が当行に相売買するに輸く。

 鈎鎖機械、物をひっかける機械、知心、知音同士、当行は当店、壊と不壊と他に随い去るや大千世界、どうですか、たったこれだけに参ずるにいいです、何をか云わんただこれ、従うたって従わぬたって大千世界、ひっかっかるところなんにもなし、無に参ずるとはそういうことですよ。答えを出す必要がない=おまえはもう死んでいる、はいまっ始めからこれです。それ故脚頭多く葛藤に礙えらる、会か不会かという蛇足です、坐りながらこれやるんでしょう、はいご苦労さんと、やりながら糠に釘です、すなわち分明底の丁寧はなはだしアッハッハ。ちっとは知っているやつは=知らんやつは知音同士ですか、なにさとやこう云うんじゃないよ、当店の売買にゃ及びもつかんで、という当店とは天童山の我が店。


画像の出典  オーストラリアの野生植物/方丈の旅行記より
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by tozanji | 2005-03-07 00:00 | 従容録 宏智の頌古